目の病気のことが知りたい
加齢黄斑変性
高齢者の眼底中央部に加齢性の変化として発症し、物が歪んで見えたり、視野の真ん中が暗く見えたりする病気です。
光線力学的療法(PDT)とは
光線力学的療法では、光感受性物質を静脈注射します。光感受性物質は2つの重要な性質を持っています。1つは正常な場所には集まらず、脈絡膜新生血管に集まりやすいという性質です。2つめは、特定の波長の光を当てると活性酸素を発生させるという性質です。この2つの性質を利用して光線力学的療法では脈絡膜新生血管の治療を行います。静脈注射した光感受性物質が脈絡膜新生血管に選択的に集まったところで、特定の波長のレーザー光を当てます(図1-A、B)。すると光感受性物質から活性酸素が発生し、脈絡膜新生血管を作っている細胞を障害、破壊し、血管が閉塞します。光線力学的療法で使用するレーザー光は従来のものとは異なり、脈絡膜新生血管以外の組織への影響はほとんどありません。初回の光線力学的療法で脈絡膜新生血管が完全に閉塞することもありますが、脈絡膜新生血管が閉塞するまでには平均で2〜3回行う必要があります。また光感受性物質の静脈注射後、5日間程は直射日光を避け、外出はできるだけ日が落ちてからにしてください。やむをえず日中に外出する際は、サングラスの装用や長そで・長ズボン、帽子・手袋の着用が必要となります。
図1-A 光線力学的療法 図1-B 光線力学的療法
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光線力学的療法(PDT)−当院での治療成績
 当院では平成16年7月1日から網膜中心窩下に脈絡膜新生血管(CNV)を伴う加齢黄斑変性に対し、光線力学的療法(PDT)を開始いたしました。以下に、PDT施行後3か月が経過した38例38眼(男性27例、女性11例、平均年齢73歳、55〜91歳)の短期治療成績を紹介いたします。

 図2は、治療前後の視力分布です。治療により視力0.1未満の症例が減り、0.5以上の症例が増えており、視力が改善していることが分かります。治療前の視力の平均は0.17、PDT施行後3か月は0.22で、やや向上しています。

 図3は、治療前後でのlogMAR視力の変化です。logMAR視力は視力を統計処理する際に使用される値で、0.1や0.2といった少数視力の逆数を対数化した値です。logMAR視力は数値が小さい程、良好な視力を意味します。logMAR視力が0.2以上変化した視力改善は13眼(34%)、悪化は5眼(13%)でした。logMAR視力で0.2以上の変化は、視力表の2段階の変化にほぼ相当します。


治療により視力0.1未満の症例が減り、0.5以上の症例が増えています。 logMAR視力は数値が小さい程、良好な視力を意味します。logMAR視力が0.2以上変化した視力改善は13眼(34%)、悪化は5眼(13%)でした。

判読可能な文字数が10個以上の変化(視力表の2段階の変化にほぼ相当します。)を視力の改善、悪化と定義すると、改善は10眼(26%)、悪化は5眼(13%)でした。
 図4は、ETDRS視力表で判読可能な文字数の変化です。ETDRS視力表は黄斑疾患の治療成績の研究などで使用される視力表です。判読可能な文字数が10個以上の変化(視力表の2段階の変化にほぼ相当します。)を視力の改善、悪化と定義すると、改善は10眼(26%)、悪化は5眼(13%)でした。

 以上より、PDT施行後3か月では、30%程の症例で視力改善が得られ、55%の症例では視力維持、15%の症例は視力が低下するという結果でした。中心窩にCNVを伴う加齢黄斑変性は、未治療では進行性に視力が低下しますので、今回の治療成績はPDTの有効性を示しています。


Classic CNVが少ないMinimally classic やOccult with no classic CNVでは病変部が大きいと治療成績は悪い傾向がみられます。
 図5は病変部の大きさ、CNVのタイプと視力変化です。CNVは蛍光眼底造影検査の所見に基づきClassic CNVとOccult CNVに分けられます。造影検査の初期から境界明瞭なCNVが描出されるタイプをClassic、そうでないものをOccultと呼んでいます。実際のCNVは同一患者さんに両者が混在していることも多く、病変の50%以上がClassic CNVであればPredominantly classic CNV、Classic CNVが病変の50%未満ならばMinimally classic CNV、まったくClassic CNVがみられなければOccult with no classic CNVと分類されます。図5では、Classic CNVが少ないMinimally classic やOccult with no classic CNVでは病変部が大きいと治療成績は悪い傾向がみられます。病変が小さいうちに治療することが大切で、早期発見、早期治療が重要となります。

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光線力学的療法(PDT)−1年後の治療成績
 当院では、平成16年7月から加齢黄斑変性に対してPDTを開始し、すでに2年が経過いたしました。そこで今回は、PDT施行後1年以上が経過した91例94眼の視力変化をまとめましたので報告いたします。

 図6と7はPDT施行1年後の視力変化です。図6では、治療前と比べ1年後の視力が、視力表で2段階以上変化した症例を視力改善あるいは悪化としました。33%が改善しています。視力の維持、改善した症例は82%です。加齢黄斑変性は、一般的に無治療では多くの症例で視力が持続的に低下する疾患です。今回の治療成績は、加齢黄斑変性に対するPDTの有効性を示していると思われます。図7では、治療前と比べ1年後の視力が、視力表で3段階以上変化した症例を視力改善あるいは悪化としました。図6と7の視力成績は本邦の他施設からの報告とほぼ同一な結果です。

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光線力学的療法(PDT)−2年後の治療成績
当院では平成16年7月から、加齢黄斑変性(AMD)に対しPDTを開始いたしました。PDT施行後1年以上が経過した症例は、207例213眼(両眼施行、6眼)で、男性は139例144眼(68%)、女性は68例69眼(32%)、平均年齢は71.5歳です。このうち、5例5眼(2%)がPDT施行後1年が経たない間に、受診が途絶えてしまいました。PDT施行後1年間、経過観察が出来たのは202例208眼、さらに2年間、経過観察が出来たのは122例124眼です。

図8はPDT施行1年、2年後の視力変化です。治療前と比べ1年後の視力が、視力表で3段階以上改善した症例は36%、3段階未満の視力変化にとどまった症例は47%で、83%の症例で視力の維持・改善が得られました。治療前の視力の平均値は0.18、1年後は0.21で、統計学の計算では明らかな改善が得られています。PDT施行2年後の視力変化は、1年後の治療成績とほぼ同様です。
図8 PDT1年・2年後の視力変化
PDTによってAMD症例の視力維持・改善が得られるようになってきましたが、1年後の平均視力は0.2程であり、まだまだ満足できる結果ではありません。

AMDに対する治療は現在も研究が進められており、治療成績の向上が期待されます。当院でも、最新の治療法を提供できるよう、努めて参ります。
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